近年、酒を飲まない/飲めない人々をターゲットとしたコンテンツが多く開発されています。たとえば、渋谷・センター街の「SUMADORI-BAR SHIBUYA」や、日本橋の「Low-Non-Bar」のようなノンアルコールバーが登場したり、アルコール度数が1％以下の微アルコール飲料も販売されています。ノンアルコール飲料の市場規模をみても、2022年に206億円、2023年予測は221億円と拡大傾向にあります。

このようなノンアルコールへの注目の背景には「ソバーキュリアス」という新たなトレンドがあります。イギリスで活動する編集者のルビー・ウォリントンの書籍「飲まない生き方 ソバーキュリアス」の流通により広まった概念で、ノンアルコールでの生活をクールだと捉えて実践するライフスタイルのことを指します。この考え方は若年層を中心に受け入れられ、イギリスやアメリカを中心に世界中に広がっています。

では、ソバーキュリアスはなぜ大きなムーブメントとなったのでしょうか？NEWSKOOLでは、このトレンドの背景にある人々の潜在的な欲求を解き明かすべく、ソバーキュリアスを実践する人々（＝ソバキュリアン）に対する定性的な調査を実施。調査を通じて得られたインサイトをもとに、ノンアルコール関連事業の機会領域を可視化したレポートを発表しました。

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ソバキュリアンに対するインタビュー調査で明らかになったのは、「倫理的消費」と「コミュニケーションデザイン」というキーワードです。

1.ソバーキュリアスを実践する人々の価値観：自己表現の一貫としてノンアルコールを選択している

ソバキュリアンの多くは「飲まないことをクール」と捉えていますが、この感覚はどこから来るのでしょうか。本調査では、それを「飲みニケーションという大人が作り上げたカルチャーへの対抗」だとしています。

高度経済成長期には酒を飲みながら親睦や交流を深めるという意味で「飲む」と「コミュニケーション」を合わせて「飲みニケーション」という言葉が流行しました。終業後に上司と部下が職場での立場関係なく飲み明かすことで職場での良好な人間関係づくりを行うというスタイルは日本型経営において大きな成功をもたらしました。

しかし、近年では日本型の終身雇用が崩壊し、若年層の企業や組織に依存せずに自身のスキルを高めたいという意識が高まりました。このような企業や組織に依存しない人生観を”飲まないという選択”によって表現していることが考えられます。

また、BLMや環境配慮、フェミニズムのように多様性の重要性が社会的に繰り返し唱えられている中で、今まではマイノリティだとされていた飲まない選択肢を肯定するソバーキュリアスなライフスタイルはクールだとして受け入れられている可能性も推察されます。

このようにソバキュリアンは、より良い社会に向けた人や社会、環境、地域に配慮した消費行動を無意識的にでも実践している傾向にあります。ノンアルコール関連サービスを提供する際には、倫理的消費（エシカル消費）の文脈を考慮したブランディングが重要です。

2.ソバーキュリアスをターゲットしたコンテンツデザインに向けたインサイト：コミュニティケーションへの強い欲求

ソバキュリアンをターゲットしたコンテンツ/アクティビティを企画する際に重要なもう1つの視点が「コミュニケーションデザイン」です。ソバキュリアンの多くはコミュニケーションの機会を求めています。

ソバキュリアンのライフスタイルを調査すると、「ノンアルコールドリンクを飲むためでなく、バーで生まれるコミュニケーションを楽しむためにノンアルコールバーに通っている」、「バーやクラブでの出会いを期待するような感覚でオンラインゲームやマッチングアプリを楽しんでいる」といった声が聞かれました。

また、ソバキュリアンはコミュニケーションに対してコンプレックスを抱えている傾向があります。調査の中では「飲みの場のコミュニケーションについていけない」「酔っている人と同じテンションになれない」といった理由で飲みの場を楽しめないという意見が挙がっています。

ノンアルコール関連サービスを企画する際には、味や見た目といった機能性だけに注目するのではなく、コミュニケーションを促進する仕掛けが重要です。

NEWSKOOLでは上記のようなインサイトを踏まえて、「ソバキュリアン向けの空間事業やコンテンツの開発」「ノンアルコール飲料ブランドの新規開発」を実践しています。機能価値だけを追求するのではなく、人々の潜在的需要を満たすような体験価値の設計を目指しています。ノンアルコール関連事業者の方や、私たちのビジョン「誰もが楽しめる夜をつくる」に共感いただける方は、ぜひご連絡ください。

また、NEWSKOOLの公開したレポート「Non-Alcoholic Night Vision」では、ソバキュリアンのより詳細な人物像や、「ノンアルコール」×「コミュニケーションデザイン」にフォーカスしたコンテンツ/アクティビティをデザインするための具体的な施策について紹介しています。下記のURLよりダウンロードください。

【ダウンロードはこちら】
https://newskool.jp/download/sober-curious/